第六回:金融自由化と保険金不払い事件 3/3

自由競争がもたらしたもの

第三分野を揖保会社まで含めて扱えるようになったことは、加入者にとって選択肢が広がり、保険会社にとっても新たな販売商品ができることで営業活動が活性化されるという見方ができます。

ただ、それは一方で保険会社間の販売競争を必然的に激化させ、しかも合併による市場制覇主義、収益第一主義といった「売らんかな」の事情が拍車をかけました。各社の営業部隊もすべての商品について通暁できないまま「売りまくらなければならない」というジレンマを抱えざるを得なくなり、それが昨今の「第三分野保険における不払い事件」につながっていったともいえます。

2005年には明治安田生命の死亡保険金不払い等の不祥事が発覚。国内保険業界で史上最長となる業務停止命令を受けました。これが発端になり、2007年3月には、東京海上日動火災保険、日本興亜損害保険、あいおい損害保険、富士火災海上保険、共栄火災海上保険、日新火災海上保険、ニツセイ同和損害保険、日立キャピタル損害保険、AIU保険、アメリカンホーム保険など損保会社10社が、支払い体制に重大な不備があると金融庁に指摘され業務改善命令を受けました。

うち東京海上日動火災保険、日本興亜損害保険、あいおい損害保険、富士火災海上保険、共栄火災海上保険、日新火災海上保険の6社は一部業務停止命令の行政処分を受けています。

不払いの不祥事自体は保険会社の矜持と良識が問われるものですが、加入者も保険会社任せにせず、自らの保険に対する意識と目的を明確にする奇貨とすべき事件といえます。

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出典:
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著者:
草野 直樹
出版社:
九天社